岐阜県臨床心理士・公認心理師協会について
会長挨拶
今、岐阜県臨床心理士・公認心理師協会に期待されること
岐阜県臨床心理士・公認心理師協会会長 寺田道夫
岐阜県臨床心理士・公認心理師協会は、現在、300余名の会員から成り、医療、福祉、教育領域を始め、様々な職域で県民の皆様の心のケアに関わると共に、司法や行政等、諸機関と連携しながら諸活動に取り組んでいます。
急変する社会情勢を背景とした家庭や学校および職場環境を巡る様々な心の問題の深刻さは増大しています。特に近年はコロナ感染症の拡大をはじめ、多発する大災害や突発的事件、事故により被害に遭われた多くの人々やその家族の生活基盤は揺らぎ、心を病まれ、誰もが救いを求めてみえます。しかし、医療機関や相談機関等(学校のSCも含む)の臨床心理士・公認心理師と繋がることができるのは僅かな人々に過ぎないのが現状です。
心の問題を巡る深刻さが危惧され、ここ20~30年の間に医療及び福祉、司法、教育、産業、さらに家庭における養育のあり方も含めた法律の整備がなされてきました。それだけに、臨床心理士・公認心理師、心の問題の相談や支援に直接関わる私たちが果たすべき役割や責任が改めて問われる時代となりました。
私たち心の専門家集団が、人々の心の健康を巡る悩みの相談や支援に携わり、より実り多い臨床的実践をするには、反省的実践を礎にして、心理職に不可欠な倫理観の涵養や経験年数を問わず、実践的資質の向上が不可欠です。さらにまた、今後、益々期待される職業集団として成長するためには、個々の心理士はもとより岐阜県臨床心理士・公認心理師協会として、今日、有用と言われる心理療法の知識や技法の習得に積極的に務めることが希求されます。そのためには、現行の年2回の研修会や初任者研修会の開催に加え、全会員がいずれかの委員会組織に所属され、定期的な情報交流の場や喫緊の課題に関する研修に参画されることを切に願います。
先が見えないコロナ禍において、ともすれば個々の会員が孤立しがちな状況にあります。それだけに、岐阜県臨床心理士・公認心理師協会としては、多様化するグループウエアのメリット及びデメリットを熟慮した上で、オンラインによる会議や研修会を常に工夫改善しながら開催し、会員相互の繋がりを深めていきたいと思います。
設立趣旨
岐阜県臨床心理士会は、1991年5月、岐阜県で活動する「臨床心理士」資格取得者の職能団体として設立され、2022年6月岐阜県臨床心理士・公認心理師協会となりました。
目的
会員相互の協力と各種機関との相互理解により、岐阜県の心理臨床の発展を促進し、且つ臨床心理士・公認心理師としての資質と技能の向上及び権益の保護充実をはかるとともに、人々の心の健康の保持向上に寄与すること。
主な事業
- 会員の権益保護充実のための諸活動
- 人々の心の健康と福祉の増進に関する諸活動
- 会員相互研修のための研究会(研修会)の開催
- 関連団体及び各種関連学会が主催する諸事業についての協力と発展に資するための諸活動
- 会報の発行
- その他、本会の目的を達成するために必要と認める事業
- 日本臨床心理士の団体会員としての諸活動
組織図
岐阜県臨床心理士・公認心理師協会会は9つの領域の担当部門があり、各理事が活動しています。医療保健領域、学校臨床領域、災害支援領域、福祉領域にはそれぞれ委員会が組織され、会員が活動しています。倫理領域においては、事案発生時に倫理委員会が組織されます。
役員
令和5年・6年度理事
- 会長
- 寺田道夫
- 副会長
- 山本彩
- 代表理事
- 橋本哲也
- 事務局長
- 松本拓真
- 事務局
- 菱田智也
- 医療保健
- 岩田道子、山本 彩、谷口博昭
(理事外協力員:井口愛、飯田高教)
- 学校臨床
- 三村道子、川原 聡、山本 彩、宮本正一、三輪小百合
(事外協力員:堀江康介、馬渕淳子、松田美和、米丸詠美子、森田郁世、井上修一、小川佑香、石丸千絵、堀部幸治、渡邉安沙美、下野有紀、飯塚 剛、大下真海 )
- 産業・私設心理相談
- 佐藤貴代、水野香代、今井敦子
- 子育て・高齢者・福祉
- 水野香代、岩田道子、河合直樹
(理事外協力員:大橋 明、田中るみ子)
- 被害者支援・司法
- 今井敦子、寺田道夫、藤村唯
(理事外協力員:杉田その子、林恵美、北川小有里)
- 災害対策
- 牧野香織、川原 聡、渡邉安沙美
- 倫理
- 岸順治、寺田道夫、山本彩
(理事外協力員:黒田直美、飯塚剛、樹下晃代、平田美奈子)
- 研修
- 河合直樹、菱田智也、北村和代、橋本哲也
(理事外協力員:伊藤宗親)
- 広報
- 橋本哲也、佐藤貴代
- 会計監査
- 片桐恵子、柘植久恵
各担当理事
活動紹介
医療保健領域担当理事
当領域に所属する会員は、精神科や心療内科を中心に、小児科、内科、リハビリテーション科などさまざまな診療科に勤務しています。
昨今、医療の進歩は目覚ましく、わたしたちも医療従事者として常に新しい知識の獲得や技術の研鑽を求められています。当領域では、年数回の研修会を行うことで会員の専門性や資質向上に努めています。
また、岐阜県は県域が広く、1人職場である医療機関も多いことから、関連情報や研修機会を得にくい場合があります。そこで、コミュニケーションツールを活用し、会員同士のネットワーク作りにも取り組んでいます。
その他、県や市町村から要請されるさまざまな対策協議会、相談業務などにも積極的に携わっています。
学校臨床領域担当理事
主に県内の教育領域全般(各学校機関、教育委員会、教育センター、教育相談室など)において勤務していますが、学校におけるスクールカウンセラー(SC)に多くの臨床心理士・公認心理師が携わっています。
近年では、児童生徒へは不登校対応のほか、自傷行為、ゲーム依存、いじめ、虐待、性暴力、貧困、ヤングケアラーなどへの多様な対応が学校チームとして求められますし、その他心理教育、職員研修、教職員へのメンタルケアへのニーズも高まってきています。
緊急支援事業では、地区のSCスーパーバイザーと連携したシステムがあります。研修の機会は、SC研修部チーム(R5年6月から)において研鑽・交流の場を設けています。また私学事業や災害支援との連携や組織づくりもしています。
福祉領域担当理事
児童相談所や保健所、児童福祉施設、老人福祉施設など社会福祉に携わる会員が中心となり、「子育て・発達支援」と「高齢者支援」の2つのネットワークを構成し活動しています。
福祉領域での臨床は、法律や制度の変化、支援方法の変化にともなって、常に変化し続けています。相談技法や心理査定だけでなく、法律や施策などの行政的な知識や情報のアップデートができるような部会活動を考えています。
また、他機関との連携が不可欠な福祉領域ゆえに、守秘義務を守りながらも、お互いの業務や職場の情報を交流したいと考えています。
産業領域担当理事
近年、社会経済などの情勢の影響を強く受け、労働現場のストレスは確実に増加傾向にあり、メンタルヘルスの問題が大きくなってきています。働くすべての人を対象に、より生き生きとした職場環境をめざし、働くことによって生じるさまざまな葛藤を整理していく心理的支援が求められるようになってきています。
「働きがい」は「生きがい」にもつながり、働くひとが安心して、キャリアを積んでいくことができるように、産業領域ではメンタルヘルスを視野に入れた支援を行っていきたいと考えています。
岐阜県教育委員会では、令和元年度から岐阜県教職員を対象とした「岐阜県教職員ハラスメント等相談窓口」が開設され、相談内容によって臨床心理士が相談に応じています。
被害者支援・司法領域担当理事
県内外を問わず、2002年度をピークに犯罪の認知件数は大幅に減少しています。その一方で、SNSやLINEなどによる犯罪は多発し、特に未成年者が性犯罪の被害者となる事件は近年急増しています。犯罪に遭われた被害者の心の傷は深く、直後の支援に留まらず、心的外傷の軽減のための継続的なケアが求められます。岐阜県臨床心理士・公認心理師協会会は、岐阜県警、ぎふ犯罪被害者支援センター及び性暴力被害者支援センター、医療機関及び弁護士会等と連携し、事件や事故に遭われた被害者やその家族の心のケアに取り組んでいます。
また、犯罪被害者支援に対する県民の意識の啓発を目的とした講演会の開催の後援など、様々な取り組みを行っています。
災害支援担当理事
災害支援担当理事は、岐阜県内で発生した災害や事故、あるいは他の地区で大規模災害や事故等が起きた際に、速やかに支援活動を行えるように準備をしています。
具体的には「災害支援委員会」を組織し、災害支援に関心のある会員に所属していただき、研修や情報交換を行っています。また、中部ブロックという近隣の9県(愛知、三重、静岡、長野、富山、石川、福井、山梨)と日頃より連携を行い、支援活動を行う際の組織作りをしています。
そして、学校臨床領域担当理事と連携し、緊急支援時の組織作り、災害支援に必要な書類などの整備を行っていきます。災害支援の経験をお持ちの方、関心がある方、これから学んでいきたい方と、共に学び、活動していきたいと思います。
研修担当理事
研修担当は、主に年次大会、初任者研修会、秋季研修会の企画運営を行なっています。必要に応じて、各専門領域の委員会と協力しながら質の高い研修の機会を会員へ提供すべく活動しています。臨床心理士・公認心理師協会という広く心理臨床にかかわる専門家集団の研修として、自分の専門分野とは異なる領域の研修を受けて頂くことも可能です。
臨床心理士・公認心理師として必要なことは、大きく変動していく社会情勢にあわせて専門性を保ち続けるために学び続けることです。心理アセスメント、心理面接、臨床心理的地域援助、研究活動の4本柱を忘れることなく、研修機会を提供できるよう取り組んでいきたいと考えています。
広報担当理事
広報担当は、一般の方や官公庁など広く社会に向けて、当会の活動や役割について情報を発信していくとともに、外部からの研修会情報や求人募集、派遣要請などを受け付ける窓口としての役割を果たしていきます。ホームページを適宜更新し内容の充実を図っていきたいと思います。
また、当会の会員向けには、さまざまなコミュニケーションツールを活用しながら、会員の活動に役立つ情報や自己研鑽につながる情報を配信し、会員同士の連携強化を図っていきたいと思います。
倫理担当理事
臨床心理士はその活動において、対象者の基本的人権と自己決定権の尊重、プライバシーの保護、面接における事前の説明と合意(インフォームド・コンセント)といった倫理綱領を遵守する義務を負っています。
倫理部門は、会員のこのような倫理意識の向上に向けた教育・研修の機会を提供するための活動を企画・運営します。
また、会員の活動において倫理問題が発生した時には、倫理委員会を設けて厳正な審査を行い、その内容を理事会に報告します。これを受けて理事会は、その会員に対して相応の措置を行うことになります。
〔担当理事 (左端が代表者)〕